「登山の下りで膝が痛みだす」と悩んでいるあなたへ。
そんな経験ありますよね?
特に久しぶりの登山だったり、ハイペースで山を登った時、宿泊を伴う縦走を楽しんだ時などは、下山時に膝が痛くなりやすいのです。
この記事では、登山の下りで膝が痛くなる3つの原因と5つの対処法を紹介します。
膝が痛くならないように予防することで、次の登山からは膝の痛みを気にすることなく美しい景色を楽しみながらを下山できるようになりますよ。
【体験談】縦走登山の下りで膝が痛くなる
今から思い返すと、あの時の判断ミスが後々の膝の痛みにつながったのだと痛感しています。
槍ヶ岳から奥穂高岳への大キレット縦走、2泊3日の山行での出来事でした。
1日目は上高地バスターミナルから槍ヶ岳山荘まで順調に進み、夕方前には到着。
すぐそばに見える槍ヶ岳の頂上は霧で真っ白、雨も降っていたので「明日の朝に登ろう」と判断しました。
この判断が、後の予定を大きく狂わせることになるとは思いもしませんでした…。
2日目の朝、日の出を見るために早起きして朝食をしっかりと取り、いざ槍ヶ岳へ。
ところが頂上を見上げると、信じられないほどの大行列です。
早朝にもかかわらず、ヘッドライトが列をなして光っているのが見えました。
嫌な予感がしましたが、ここまで来て登らないわけにはいきません。
案の定、通常なら30分ほどで登れる槍ヶ岳の頂上まで、渋滞で2時間以上もかかってしまいました。
予定より2時間も遅れてしまい、穂高岳山荘まで行くには急がなければなりません。
南岳小屋では本当は休憩したかったのですが、時間がないので水と行動食だけ補給して大キレットへ急ぎました。
垂直に近いハシゴを2回降り、険しい道が続く中、時間に追われながら歩き続けました。
北穂高小屋では他の登山者がビールを楽しんでいましたが、昼食も取らずにスニッカーズで栄養補給して先を急ぎます。
結局、穂高岳山荘に着いた時には他の登山者がすでにテントを張って夕食の準備をしている状況でした。
そして迎えた3日目の下山日。
2日目にハイペースで進んだ影響が、この日にモロに出ました。
奥穂高岳の頂上は強風で、慎重に下山を開始しましたが、足と膝に疲労が蓄積していることを痛感しました。
いつもなら普通に下れるはずの段差が、今回は異様にきつく感じられました。
特に岳沢小屋から上高地への下りでは、膝に鈍い痛みが走り始め、スローペースでしか歩けません。
おそらくコースタイムをオーバーしていたと思います。
岳沢小屋で休憩中、同じく奥穂高岳から下りてきた登山者と「足がしんどいですね」と話していた時のことです。
その時、トレッキングポールを使った山ガールが私たちの横を颯爽と下っていったのです。
その軽やかな足取りを見て、心の底からうらやましく思いました。
「2日目はもっと時間に余裕を持って登ればよかった」と後悔しながら、膝の痛みをかばいながらの下山はなかなかに辛いものでした。
1泊2日程度の山行であれば問題ないのですが、2泊以上の縦走では足への負担が蓄積されることを身をもって体験したのです。
その時の山行で特に気づいたのが「トレッキングポールありかも」ということです。
あの山ガールのように、膝への負担を軽減できる道具の重要性を痛感した瞬間でした。
ハイペースで歩いたのも原因の一つでしたが、下山時の膝の痛みは想像以上にしんどかったので、「予備としてトレッキングポールを持っておいた方がいいかもしれないな」と。
結果的には最高に楽しい山行でしたが、膝の痛みという貴重な教訓も得ることができた縦走登山でした。
登山の下りで膝が痛くなる3つの原因
登山の下りで膝が痛くなる原因を理解することで、次回の登山までに予防や対策をすることができます。
下山時の膝の痛みは主に筋肉の疲労や負荷の集中によって起こりますが、歩き方や装備、体力面など複数の要因が絡み合っています。ここでは以下の内容について説明していきます。
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
原因1:膝に負担がかかる歩き方をしている
登山の下りで膝が痛くなる最も大きな原因は、膝に過度な負担をかける歩き方をしていることです。
- 大股で一歩ごとの負荷が大きくなる歩き方
- かかとから強く着地するドスンとした歩き方
- 膝が進行方向に対してねじれている歩き方
- 重心が後ろに下がりすぎた腰が引けた歩き方
下山時は登りよりも膝関節に大きな衝撃が加わるため、歩き方が悪いと膝周辺の筋肉や腱に炎症が起きやすくなります。特に大股で歩いたり、ドスンと勢いよく足を着地させたりすると、大腿四頭筋に負荷が集中し、膝の痛みを引き起こします。
また、膝が内側や外側にねじれる歩き方も、関節に変な力がかかって筋肉が余計な動きをしてしまいます。
正しい歩き方を身につけることで、膝への負担を大幅に軽減できるため、下山時の歩き方を見直すことが膝痛予防の第一歩になります。
原因2:筋力不足・筋肉疲労で膝が痛くなる
登山の下りで膝が痛くなる二つ目の原因は、筋力不足や筋肉疲労によるものです。
- 大腿四頭筋の筋力不足による膝への負荷集中
- 長時間の登山による筋肉疲労の蓄積
- 足関節と股関節の機能低下による膝依存の歩行
- 日常の運動不足による基礎筋力の低下
登山では平地の歩行と比べて脚部の筋肉活動量が約1.5~2倍になり、特に下りでは太もも前側の大腿四頭筋に大きな負荷がかかります。大腿四頭筋が疲労することで柔軟性がなくなり、硬くなることで筋肉とつながっている膝のお皿周辺に痛みが発生します。
また、普段から運動不足の人は基礎的な筋力が不足しているため、長時間の登山に耐えられずに筋肉が早期に疲労してしまいます。現代人の生活では足首や股関節を使う機会が減り、膝関節だけに依存した歩き方になりがちなのも問題です。
筋力を向上させることで膝痛を予防できる可能性が高いため、日頃からのトレーニングが重要になります。
原因3:膝の痛みをサポートする道具を使っていない
登山の下りで膝が痛くなる三つ目の原因は、膝の負担を軽減してくれる道具を使っていないことです。
- トレッキングポールを使わずに脚だけで衝撃を受けている
- 足に合わない登山靴やインソールを使用している
- サポートタイツや膝サポーターを活用していない
- 劣化したインソールをそのまま使い続けている
適切な装備を使用することで、脚にかかる負荷を大幅に軽減できるのに、その効果を活用していないのはもったいないことです。特にトレッキングポールは30cmの段差を下る際の衝撃を約半分まで抑えることができ、膝への負担を腕に分散させる効果があります。
また、登山靴のミッドソールやインソールが足に合っていない場合、クッション性能が発揮されずに余計な負担となっている可能性もあります。サポートタイツや膝サポーターも筋肉のブレを抑えて疲労を軽減する効果が期待できます。
適切な道具を使用することで膝への負担を大きく軽減できるため、装備の見直しも膝痛対策の重要なポイントです。
登山の下りで膝が痛くなる時の5つの対処法
登山の下りで膝が痛くなってしまった時、適切な対処法を知っていれば症状を改善し、今後の登山をより快適に楽しむことができます。膝の痛みは多くの登山者が経験する悩みですが、正しいアプローチをすることで予防や改善ができるのです。
歩き方の改善から筋力トレーニング、適切な装備の活用、さらには体の内側からのケアまで、様々な角度からアプローチすることが重要です。ここでは以下の内容について説明していきます。
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
対処法1:膝に負担をかけない歩き方を身に付ける
登山の下りで膝痛を防ぐ最も効果的な対処法は、膝に負担をかけない正しい歩き方を身に付けることです。
下山時は重心をやや前に置き、歩幅を狭くして一歩ごとの衝撃を小さくすることが基本となります。また、急な階段では体を横向きにして段差ギリギリに足を置くことで、歩幅を小さくできます。足音が大きくならないよう、つま先から優しく接地することも重要なポイントです。
- 歩幅を狭くして小股でゆっくり歩く
- つま先から優しく接地してシューズ全体で着地する
- 膝を進行方向にまっすぐ向けて捻れを防ぐ
- 急な階段は横向きになって一歩ずつ確実に下る
正しい歩き方を習得することで、膝への負担を根本的に減らすことができ、長時間の下山でも痛みを感じにくくなります。
対処法2:膝の痛みに効果的なトレーニングをする
膝の痛みを根本的に解決するためには、膝周辺の筋力を強化するトレーニングが欠かせません。
トレーニングは筋力向上と筋持久力向上の両方を意識して行うことが大切で、継続的に取り組むことで登山での膝痛を予防できます。自宅で簡単にできるトレーニングから始めて、徐々に負荷を上げていくことで無理なく筋力アップが可能です。
また、足関節や股関節の柔軟性を高めることで、膝だけに依存しない歩き方も身に付けられます。
- スクワットで大腿四頭筋を強化する
- かかと上げでバランス感覚と足裏筋力を向上させる
- 荷物を背負って階段の上り下りをする
- ストレッチで足関節と股関節の柔軟性を高める
日頃からのトレーニングにより筋力と持久力を向上させることで、登山での膝痛を大幅に減らすことができます。
対処法3:トレッキングポールを活用する
トレッキングポールは下山時の膝痛対策としておすすめできる装備です。トレッキングポールを使用することで脚にかかる負荷を腕に分散させ、膝への衝撃を大幅に軽減できるからです。
下山時はポールを体より前に突いて、体重を支えながらゆっくりと下ることがポイントです。慣れるまでは平地で練習してから山で使用することをおすすめします。
- 30cmの段差での衝撃を約半分に軽減できる
- 脚への負荷を腕に分散させて疲労を軽減する
- 不整地でのバランス保持と転倒防止効果
- 長時間の下山での膝への負担を継続的に軽減する
トレッキングポールは膝痛対策の切り札とも言える装備なので、膝に不安がある場合はぜひ活用してみてください。
対処法4:膝サポーターを活用する
膝サポーターは膝周辺の筋肉をサポートし、関節を安定させることで痛みを軽減する効果があります。
登山用のサポーターは通気性や伸縮性に優れているものが多く、長時間の使用でも快適に過ごせます。
ただし、締め付けすぎると血流を妨げる可能性があるため、適切なサイズ選びと装着方法が重要です。登山前に事前に試着して、自分に合ったものを選ぶことをおすすめします。
- 膝関節を安定させて痛みを軽減する
- 適度な圧迫により血流促進と疲労回復をサポート
- 心理的な安心感によるストレス軽減効果
- 登山用の通気性と伸縮性に優れた素材を使用
膝サポーターは手軽に取り入れられる対策なので、膝に不安がある方は一度試してみる価値があります。
対処法5:サプリメントで膝のケアをする
膝の痛みを予防するケアとして、体の内側からアプローチするサプリメントの活用も効果的です。特にプロテオグリカンやグルコサミンなどの成分は、関節軟骨の健康維持に重要な役割を果たしてくれます。
サプリメントは継続的に摂取することで効果が期待できるため、膝に不安を感じ始めたら早めに取り入れることが大切です。機能性表示食品として認められているものを選ぶことで、より信頼性の高いケアが期待できます。
- プロテオグリカンで関節軟骨の保水性と弾力性を維持
- グルコサミンで軟骨成分の生成をサポート
- 加齢による軟骨成分の減少を補う
- 機能性表示食品として科学的根拠に基づいた効果
サプリメントによる内側からのケアで、いつまでも快適な登山を楽しめる膝の健康を維持しましょう。
【Q&A】登山の下りで膝が痛くなる時の疑問に回答
「登山の下りでなぜ膝が痛くなるのか?休憩中に足が震えるのはなぜなのか?」など、下山時に感じる疑問について分かりやすく回答していきます。
それでは、一つずつ詳しく見ていきましょう。
登山の下り坂で膝が痛くなるのはなぜ?
下り坂では体重と荷物の重さが前足にかかり、膝関節に大きな衝撃が加わるためです。特に太もも前側の大腿四頭筋が疲労すると、筋肉が硬くなって膝のお皿周辺に痛みが発生します。登山の下りは登りよりも筋肉への負荷が大きく、長時間続けることで炎症を起こしやすくなります。
登山の下りで休憩した時に膝が笑うのはなぜ?
膝が笑う現象は、大腿四頭筋の筋力不足や疲労によって起こります。下山時に筋肉が限界まで使われると、膝を支える筋力が低下して小刻みに震えてしまいます。特に内側広筋という膝を伸ばす筋肉が疲労すると、膝の安定性が失われて意志とは関係なく震えが生じます。これは筋肉からの危険信号でもあります。
登山の下山中に膝が痛くなった時はどうした方がいい?
まずは歩幅を狭くしてゆっくり歩くことが大切です。痛みが強い場合は無理をせず、適度に休憩を取りながら下山しましょう。膝をさすって血流を促進したり、軽いストレッチをするのも効果的です。トレッキングポールがあれば積極的に活用して、膝への負担を軽減させることをおすすめします。
登山の下りで疲れずに歩く方法は?
小股でゆっくり歩くことが最も効果的です。一歩ごとの衝撃を小さくし、つま先から優しく着地することで筋肉への負担を軽減できます。また、同じ筋肉を使い続けないよう、時々横向きに歩いたり小さくジグザグに歩くのもおすすめです。重心はやや前に置き、膝を進行方向にまっすぐ向けることも大切なポイントです。
登山で下りはつま先から着地した方がいい?
はい、つま先から着地する方が膝への負担を軽減できます。かかとからドスンと着地すると大きな衝撃が膝に伝わりますが、つま先から入ってシューズ全体で接地することで衝撃を分散できます。ただし、つま先だけで歩くのではなく、最終的にはソール全体で地面をとらえることが重要です。この歩き方により転倒リスクも減らせます。
【まとめ】登山の下りで膝が痛くならないように予防しよう!
登山の下りで膝が痛む悩みは、正しい知識と対策により必ず改善できます。
今回ご紹介した歩き方の改善、筋力トレーニング、適切な装備の活用、そしてサプリメントによる内側からのケアを実践することで、膝の痛みに悩まされることなく登山を楽しめるようになるはずです。
次回の登山では、美しい景色を眺めながら余裕を持って下山できる自分の姿を想像してみてください。
膝の不安がなくなれば、より高い山や長距離の縦走にもチャレンジできるようになります。
痛みを気にしながら歩く辛さから解放され、仲間との会話や自然との触れ合いを心から楽しめる登山が待っています。
できるだけ早めに膝の痛みの予防対策を始めることで、一生涯にわたって山の素晴らしさを味わえるようになるのです。